第6章

上野の古い商店街に着くと、借金取りらしきチンピラたちが押しかけていた。

店は荒らされ、正樹は殴られていた。

以前から聞いてはいた。正樹のお父さんが亡くなる前に、外で多額の借金を作っていて、今ではその返済がすべて正樹にのしかかっているのだと。

だから彼は毎日、三つもアルバイトを掛け持ちしている。

正樹の姿を見た瞬間、私の心臓はきゅっと締め付けられた。

彼の口の端からは血が滲み、顔にははっきりとわかる痣がある。普段は黒く深い瞳が、今は充血していた。

「正樹!」

私は駆け寄った。

彼は私を見ると、一瞬慌てたような表情を浮かべ、すぐに顔の傷を見られないように背を向けた...

ログインして続きを読む