第9章

あの日、私が中村正樹を助けた時、佐藤宗樹は廊下の突き当たりに立って、すべてを冷ややかに傍観していた。

後日、彼は何も言わなかった。まるで何もかもが自分とは無関係であるかのように。

機会を見つけて、彼に一度説明すべきかもしれない、そう思っていた。

その時、不意にスマートフォンの通知音が鳴った。

友人から送られてきた動画で、メッセージにはこう書かれていた。『智香子、この佐藤宗樹って、あんたの婚約者じゃない!』

動画の中では、制服姿の男子生徒たちが数人で談笑している。その中の一人が近藤浩二であることは、一目でわかった。

彼は酔っ払った様子でこう言っていた。

「あの計画は...

ログインして続きを読む