第103章

葉山歩美はぎゅっと掌を握りしめ、長川輝夫が去っていく背中を見送った。貼りつけていた笑みは、もう保てない。

『宮原念!』

『なんで私から奪うの、なんで……!』

胸の奥で嫉妬が狂ったように増殖し、爪が皮膚に食い込みそうになる。

――こんなにも長い間。

長川輝夫が一線を越えようとしなかったのは、自分に家柄がないことを気にしているからだと、そう思い込んでいた。

なのに宮原念は?

あいつだって、後ろ盾なんてないくせに。

『宮原念……いいわ。ほんっと、いいご身分ね』

『私の男に手を出したんだから……覚悟しなさいよ』

『チャンスはあげたのに……』

歩美の瞳に血走った赤が滲み、愛らしい...

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