第105章

係員がカード決済の準備をしようとした、そのとき。

ふいに、鼻につくほど傲慢な声が店内に響いた。

『そのドレス、私がいただくわ!』

この声……。

聞き覚えがある。

宮原知子は慌てるでもなく、ゆっくり振り返る。

「鈴野雫?」

そこに立っていたのは、全身ブランドで固めた女だった。メイクは隙なく整っているのに、眉と目元には生来のわがままがにじみ、纏う空気そのものが横柄だ。

鈴野雫は顎を上げ、堂々と歩み寄ってくる。背後には、付き添いのボディガードが二人。

『あら、宮原念じゃない。まさかあなたが、こんなところで買い物できるなんてね』

その視線が宮原知子の顔に落ちた瞬間、鈴野雫の胸の奥...

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