第11章

宮原知子は咄嗟に一歩引いた。だが手の甲は真っ赤に腫れ上がり、ひりひりと焼けるように痛む。

一方の葉山歩美も、跳ねた湯が手首に数滴かかってしまったらしい。

「ごめんなさい、ごめんなさい、お姉さん……わざとじゃないんです。手が滑っちゃって……」

葉山歩美はみるみる目を赤くして、今にも泣き出しそうな顔になる。謝りながら、慌てて宮原知子の手を取ろうとした。

「大丈夫ですか? 火傷してません?」

そのとき、入口から冷えきった声が飛んだ。

「……どうした」

長川輝夫だった。

大股で入ってくるなり、彼は葉山歩美の赤い手首と、涙をたたえた顔を見て、すぐさま近寄る。そして驚くほど丁寧に、彼女の...

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