第111章

しばらくの沈黙。

宮原知子は力なく息を吐いた。『私だって調べたいよ。でも決定的な傷がない。通報したところで警察も事件として立てにくいし、いったん保留にするしかない』

相手はそこまで織り込み済みだからこそ、ここまでやりたい放題なのだ。

小岩青子は悔しさに歯ぎしりする。『あいつら、陰でこんな汚い真似しかできないんだよ。ぺっ!』

そう言うなり、彼女は持ってきたバッグから保温の弁当箱を取り出した。

『そんなムカつく話は置いとこ。うちの母さんが作ったごはん、わざわざ持ってきたんだ。昔、知子が一番好きだったやつばっか。入院したって聞いてさ、身体の足しにしろって』

蓋を開けた瞬間、濃い香りがふ...

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