第114章

二人は肩を並べ、落ち着いた足取りで歩いていく。

「片や玉みたいに柔らかくて、片や氷みたいに澄んでる……絵になるなあ。まさに才色兼備ってやつ!」

さっきまで騒がしかった宴会場が、なぜか少しだけ静まった。

無数の視線が、いっせいに二人へ降り注ぐ。

驚嘆、好奇心――そして、いちばん多いのは探るような目。

「岸江社長の隣の女性、誰? 見ない顔だし、雰囲気が別格すぎる」

「初めて見る……あの顔立ち、社交界でも二人といないでしょ。目を奪われる」

「岸江社長、見る目あるよな。並ぶと相性良すぎ」

その一方で――。

長川輝夫は、深い瞳をすっと細めた。

シャンパンのグラスを握る指先が、無意識...

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