第120章

長川輝夫はスーツの皺を指先でならした。だがベルトのあたりに残った水染みだけは、妙に想像を掻き立てる。

『さっき、誰が俺の上に乗ったまま降りなかったんだ? ……まあ、宮原さんの言うとおりだ。君の穴、危うく俺を挟んでイかせるところだった』

『まだ言うの!』宮原知子は彼を睨みつけ、羞恥と苛立ちを滲ませる。『あんたがわざと黙ってたんでしょ。こんなにいやらしい男、見たことない!』

その瞬間、長川輝夫が目を細めた。

一歩、また一歩。逃げ場を塞ぐように距離を詰める。

『わざと? 宮原知子、俺から逃げたって無駄だろ。結局、自分から来るじゃないか』

まただ。

また、その名前で呼ぶ。

宮原知子は...

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