第124章

夏目桃香の報告は、細部に至るまで抜かりがなかった。

宮原知子は指先で机を軽く叩きながら、目元に淡い笑みを滲ませる。

『ご苦労さま。あとの現場管理は、もう少し気を配って。何かあったら、すぐ私に連絡して』

「ボス、任せてください! 絶対にミスは出しません!」

夏目桃香はおどけるように片目をつむり、そのまま踵を返して会場側との最終調整へ走っていった。

――宮原知子に、指一本触れさせない勢いで。

彼女が出ていくと、宮原知子は窓辺へ歩み寄る。

発信ボタンを押した瞬間、眉と目尻がふっと柔らかくなった。

『知子! また時間できたの?』

受話器越しに届く親友の声に、胸の奥がじんわり温まる。...

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