第13章

「『長川奥さん』って肩書きも、あなたの株も、あなたの人脈も……全部いらない」

昔の宮原知子は、長川輝夫を自分より大事にしていた。けれどこれからは、自分自身をちゃんと愛してやりたい。

「この案件が片づいたら、来週の月曜に手続きしましょう。長川の株価への影響が心配なら、記者会見だって開ける。悪いのは全部わたしだって言うわ。あなたと――あなたの高嶺の花の名誉は守ってあげる」

宮原知子の瞳は、どこか空っぽだった。

その瞬間、空気が凍りつく。

長川輝夫の顔に燃えていた怒りが、ぴたりと固まった。代わりに浮かんだのは、極限の困惑。まるで理解不能な言葉をぶつけられたみたいに。

宮原知子は、こんな...

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