第130章

宮原知子は眉をひそめ、手を引っ込めようとした。だが男は彼女の手首を掴んだまま離さない。

『動くな』

冷えた視線が彼女の手の甲に落ちる。男はわずかに眉を寄せた。

『火傷したのか?』

低い声。そこに、ほんのわずかな気遣いが混じっている。

その奥行きのある眼差しを真正面から受けた瞬間、宮原知子の心臓が理由もなく跳ねた。

『いいえ。ちょっとはねただけです。大丈夫』

我に返ると、宮原知子はすぐ顔を背け、手を引き抜いた。

『お湯、すぐ沸きますから』

長川輝夫は彼女を見つめ、瞳の奥に意味深い色をよぎらせた。何か言いかけた、そのとき。

病室のドアが慌ただしく叩かれる。

ドンドンドン――...

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