第162章

宮原知子は手のひらで彼の顔をぐいっと押しのけた。『……出てって』

そのとき、運転手が小走りで戻ってきた。手にはドラッグストアの袋。

長川輝夫はそれを受け取ると、腰を折って彼女の足に触れようとする。

『自分でやる』

宮原知子が袋に手を伸ばすより早く、長川輝夫は彼女の手をするりとかわし、強引に足首をつかんで引き寄せた。そして自分の膝の上にそっと乗せる。

ズボン越しに伝わる体温が、じわりと彼女の肌へ滲み、熱がかかとから頬へと駆け上がっていく。

彼は顔を上げない。淡々と、けれど丁寧に。傷口を拭い、薬を塗り、絆創膏を貼った。

宮原知子は頬を赤くしたまま足を引っ込め、ぎこちなく礼を言う。『...

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