第172章

「うん、焦らないで。お姉さん、すぐ行くからね」宮原知子は慌てて言った。「おうちでいい子に待ってて。すぐ着くよ」

「うん、ありがとう、きれいなお姉さん」長川直志は電話を切ると、ベッドからぴょんと跳ね起きた。そして嬉しそうに長川輝夫へ向き直る。「パパ、成功! きれいなお姉さん、すぐ来てくれるって!」

長川輝夫の口元も、つられるように上がった。「腹、もう治ったのか?」

直志はまたベッドへ潜り込み、布団をきっちり巻き直す。病人のふりを続け、力の抜けた声で言った。「……治ってない」

それから三十分ほどして、玄関のチャイムが鳴った。

長川輝夫がドアを開ける。

扉の向こうに立っていた宮原知子は...

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