第25章

彼はその写真を手に取ることすらせず、宮原知子へもう一度視線を投げることもなかった。まるで、どうでもいい紙切れでも見るみたいに。

長川輝夫はまっすぐバーカウンターへ向かい、氷水を一杯注ぐと、そのまま踵を返して二階へ上がっていった。

最初から最後まで、彼は彼女にひと言もかけない。目すら、合わない。

宮原知子はその場に凍りつき、全身の血がすうっと冷えていくのを感じた。

――ああ、この人は本当に、どうでもいいのだ。

彼女のことも。突然やってきたこの子のことも。

周防礼美の強引な采配も、使用人たちの過剰な気遣いも、全部が巨大な皮肉に思えた。

この家で彼女が持ち上げられているのは、宮原知子...

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