第40章

宮原知子は小岩家に戻ってきて、ようやく胸の奥が落ち着いた。腕の中にはずっと赤ん坊を抱いたまま。とっくに腕はだるく、じんじん痛んでいる。

小岩家は広くない。百平米にも満たない部屋だ。それでも、どこかほっとする温かさがあった。生活の匂いが隅々にまで漂い、掃除も行き届いていてきちんとしている。

豪華な内装などなくても、長川家で息を詰めて暮らすより、ここで過ごすほうが何倍も楽だった。

知子は長川直志を抱き、ただ静かに座っていた。

「知子、ちょっと休みなよ。ずっと抱えてなくていいって。赤ちゃんは逃げないんだから。もう家なんだし、ほら、私に抱っこさせて」

小岩青子が身を寄せてくる。

知子はふ...

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