第44章

葉山歩美は、世間で囁かれているような「貧しい家のシンデレラ」などではない。

国際金融界に君臨する白原家――その私生児だった。

母は、父がいちばん寵愛していた愛人。けれど美人薄命という言葉どおり、早くに世を去った。

歩美は幼いころから一般家庭に預けられ、十八歳になってようやく白原家に引き取られる。

血筋を名乗る代償。

それは、盤上の駒になること。

彼女に課された任務は、長川輝夫に近づき、彼が自分に残しているわずかな未練を利用して、長川グループが開発中の研究――その中枢コードを盗み出すことだった。

「もう少し時間をちょうだい」歩美は言った。「宮原知子っていう間抜け、もう彼と完全にこ...

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