第46章

その頃、長川グループ――。

社員たちは皆、最近の社長の機嫌が最悪だと感じていた。誰かが社長室へ入るたび、空気がひりついて、胸の奥まで重くなる。

長川輝夫は執務机の前で苛立ちまぎれにネクタイを引っぱった。

葉山歩美がコーヒーを運んで入ってくる。音を立てないようにそっと机に置き、上目づかいに言った。

「輝夫お兄さん……お姉さんのことで、まだ悩んでるの? だったら……私が話してこようか。私たちの間に、何か誤解があるのかもしれないし」

輝夫が顔を上げる。彼女に向けた視線には、初めて露骨な吟味と苛立ちが混じっていた。

「誤解?」冷えた声が落ちる。「現場の作業員を痛めつけるよう人を動かした。...

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