第49章

出国の日は、あっけないほど早くやってきた。

宮原知子はスーツケースを引き、空港ロビーの真ん中に立つ。

表情には、ほんの少しの軽さと、肩の荷が下りたような安堵が混じっていた。まるで千斤の重りを下ろしたみたいに。

小岩青子と小岩放は彼女のそばで目を赤くし、視線の奥に名残惜しさをいっぱい詰め込んでいる。

周防おばさんは知子の手をぎゅっと握ったまま、口を休めずに言いつづけた。異国の地で辛い思いをしないか、それが怖いのだ。

「知子、向こうに着いたら、ちゃんと自分のことを大事にするんだよ。何かあったら周防おばさんに電話しなさい。周防おばさんはいつだって味方だからね」

声が詰まり、涙が今にもこ...

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