第66章
宮原知子が顔を上げた瞬間、表情がすっと冷えた。
「長川様……また何の用ですか」
警戒する視線を向ける。痛みのせいで、声がかすかに震えた。
長川輝夫は、紙みたいに白い顔色と、寄った眉、腹を押さえる手に目を留め、眉間を深く刻む。
「……どうした」
「あなたには関係ありません」
宮原知子は歯を食いしばって身を起こす。
「長川様はご自分のことだけ気にしていればいいでしょう。余計なお世話です」
善意を踏みにじられた形になり、長川輝夫の胸にも苛立ちが灯る。抑えきれない怒気を噛み殺すように言った。
「……分かった。放っておく」
それでも、視線は逸らさない。
「ただ、気になっただけだ。...
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