第76章

長川直志の目がきらきらと輝き、脱兎のごとく台所の前まで駆けてくる。『いいの?』

宮原知子はくすっと笑い、煮上がった甘い青豆を少しすくった。『ほら、熱いから気をつけて』

ふうっと息を吹きかけてから、彼の口元へ差し出す。

長川直志はぱくりと含み、舌の上でほろりとほどける柔らかさに目を細めた。『おいしい、おいしい!』

宮原知子はほっと息をつく。『気に入った? じゃあ、もう少し食べる?』

そう言いながら、もう一さじすくって口へ運ぼうとした、そのとき。

ぽとり。

一滴、彼女の手の甲に落ちた。

宮原知子はきょとんとして、反射的に顔を上げる。

すると、長川直志の目元が一瞬で赤くなっていた...

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