第82章

宮原知子は眉をわずかにひそめ、指先が無意識にきゅっと強ばった。

岸江立人の沈んだ口調から、ただならぬ気配が滲んでいる。

岸江立人は廊下へ視線を走らせる。『白原家はこれまでずっと息を潜めていたのに、ここ最近になって急に動き出した。それに……狙いがはっきりしてる。長川に照準を合わせて、裏でやってることもお世辞にも綺麗とは言えない』

一拍置き、宮原知子を見る眼差しに、隠しきれない憂いが混じった。『今の君は長川輝夫と……距離が近い。巻き込まれやすい立場だ。あいつらは手段を選ばない。できるだけ長川に関わるものから離れて、自分の身を守れ』

言い終えると同時に、宮原知子の唇に浮かんでいた笑みがすっ...

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