第88章

まだ帰りきらない招待客たちは、まるで時間を止められたみたいにその場で固まった。視線は一斉に、場の中心で向かい合う三人へ。息づかいさえ、無意識に薄くなる。

『え、ちょ……宮原念、強すぎない?』

『帰国したばっかで長川様に噛みつくとか……ひゅっ。藤原お爺様の後ろ盾があるにしても、度胸ありすぎでしょ』

業界の名だたる面々が見守る前で、口が悪いどころの話じゃない。長川輝夫の前の結婚にまで踏み込んで、評価めいたことを言ってみせたのだ。

長川輝夫とは誰か。

長川グループを一手に握る、絶対の実力者。

容赦のない手腕。人を射抜くような威圧感。

普段なら名家の年長者でさえ、三分は顔を立てる相手だ...

ログインして続きを読む