第9章

スイスのプロジェクトは、異様なほど順調に進んでいた。

華誉国際センター最上階の会議室。宮原知子と岸江立人のチームは、最終デザイン案に判を押した。

巨大な床から天井までのガラス窓の向こうには、高層ビル群が幾重にも連なる都市の稜線。陽光がどっと流れ込み、室内の隅々まで透き通るように明るい。

「完璧だ」

岸江立人は最終版の模型に目を落とし、心底からの感嘆を漏らした。

「知子、君の才能は少しも色褪せていない。むしろ時間を重ねた分だけ……さらに人の心を動かす」

宮原知子はふっと笑う。眉と目尻に、久しぶりの余裕と自信が戻っていた。

「ありがとうございます、岸江様。信じてくださって」

それ...

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