第95章

その企画書は、異様なほど作り込まれていた。

長川輝夫は薄い唇の端をわずかに吊り上げる。

『さすが藤原お爺様の弟子だな。発想が新しい。この独自性――業界全体で見ても、頭ひとつ抜けてる』

宮原知子は無表情だった。

こいつの声を聞くだけで頭が痛くなる。

『長川様のお褒めの言葉、身に余ります。ただ、今回の初期案は長川のハイエンドな立ち位置に沿いつつ、岸江家の職人技も活かせるよう組み立てました。コストも、実装の現実性も、最初から織り込んであります』

長川輝夫の瞳の奥に、かすかな賞賛が走る。だが表情は崩さない。

――次の瞬間。

宮原知子が眉をひそめた。

『……何してるんですか?』

長...

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