第5章
夜明けが近い頃、淳一が部屋から出てきた。
居間の出入口に立っていた護衛が言う。
「兄貴、片づけは終わりました」
淳一は扉を押し開ける。床にはまだ血の跡が残り、数人がしゃがみこんで拭き取っていた。視線が、床の中央に落ちている指輪に吸い寄せられる。
歩み寄って拾い上げる。薄暗い。それでも、その指輪が何か――淳一にはわかった。
由香が二階から降りてきて、彼の手元を見て息をのむ。
「それは……」
淳一は指輪を彼女へ放り投げた。
「つけろ」
由香は受け止めたものの、ためらいがちに唇を開く。
「でも、これは……」
「捨てた奴の落とし物を拾っただけだろ。何が問題だ?」
...
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