第6章

 由香が笑った。その笑みには、どこか狂気が滲んでいる。

「いまさら彼女のこと思い出したの? 2か月前、あたしにそれを嵌めさせたときは、そんなこと一言も言わなかったくせに」

「この席はあたしのものだって言った。みんなに知らせるって言った。あたしこそが黒村のゴッドマザーだって。……それが今さら何? あの女が出ていった途端、後悔したの?」

「指輪を寄こせ」

 淳一が一歩、前に出る。

 由香は踵を返し、部屋を飛び出した。

 淳一が追いついたとき、彼女はもう階段のところまで来ていた。

「逃げられると思ってるのか?」

 淳一の声は氷みたいに冷たい。

「俺の縄張りだ。どこへ行ける?」

...

ログインして続きを読む