第9章

素子の視点

 銃口が、正臣の額に押しつけられていた。

 淳一の声は氷みたいに冷たい。

「おまえ、自分がどれだけ彼女を守れると思ってる? 1年か? 2年か? この世界ってやつを見切ったとき、分かるさ。守りきれないものがあるんだ」

 正臣は一歩も退かない。血はまだ流れているのに、声だけは揺れなかった。

「それは、おまえの選択だ。運命じゃない」

 淳一の眉が、ぴくりと動いた。

「昔、あいつを助けたとき……その先のこと、考えたか? 連中に追われて、あのボロ屋に隠れて――おまえ、諦めようと思ったことはないのか」

 淳一の手が、震えはじめる。

「その話なら聞いた」正臣は淳一の目を真っす...

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