第10章

京都駅前のクリスマスツリーが雪の夜にきらきらと輝いている。巨大な杉の木は金色にきらびやかに飾り付けられ、イルミネーションが星々のように枝の間に散りばめられていた。

私は安信の車の中で、分厚いカシミアのブランケットにくるまり、霧でぼんやりと曇った窓ガラス越しに外の世界を眺めていた。

雪がはらはらと舞い落ちてくる。その一片一片が、まるで桜の澄んだ瞳のように、ネオンの光を浴びて優しくきらめいていた。

「ママ、どうして雪ってこんなに綺麗なの?」

桜が五歳の時、私にそう尋ねたことがある。あの時も私たちはここに座って、同じクリスマスツリーを見ていた。

あの日、桜は赤い毛糸のセーターを...

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