第7章

京都、金閣寺近くのペットショップ。私は呆然とガラスケースの前に立ち尽くしていた。

ケースの中には、真っ白な子猫が丸くなっていた。左耳にだけ、小さな黒い痣がある。

まどか。

私の手は震えながらガラスに触れ、涙で一瞬にして視界が滲んだ。

それは、桜の猫だった。

三年前のあの日の午後を思い出す。幼稚園から帰ってきた桜は、目を赤く腫らしていた。

「ママ、どうして友ちゃんの家には猫ちゃんがいて、翔太郎くんの家にも猫ちゃんがいるのに、うちにはいないの?」

桜は恐る恐るといった様子で私を見上げ、声には悔しさが滲んでいた。

「僕も猫ちゃんが欲しい……」

その夜、私は勇気を振...

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