第5章
背後から、悪意のこもった真琴の声がした。振り返ると、真琴と美咲が私の行く手を塞いでいた。
心が沈む。また、この人たちだ。
「今日、転校生を誘惑してたって聞いたわよ?」美咲が皮肉っぽく言う。「相変わらず趣味が悪いわね」
「捨てられたっていうのに、いつまでも恥を知らない人もいるものね」真琴は私を侮蔑的に見下ろした。「義理のお兄さんを誘惑するのに失敗したから、新しいターゲット探し? あんたで、本当にいやらしいね」
「私、そんなことしてない……」反論しようとしたけれど、声が震えているのが自分でも分かった。
「何が違うの? 海翔を誘惑してないってこと?」美咲がぐっと距離を詰める。...
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