第39章

美咲は拒まずに、ガーゼを取って傷口を覆った。

「西坊ちゃんの屋敷に行って、奥様の脈を診るという口実で、この血を飲ませてくれ」

その言葉に、白田はすぐに異変を察した。「先輩、もしかして奥様のお腹の子も被害に？」

「ああ」美咲は無造作にガーゼで傷口を拭うと、再び見てみれば傷跡は消え、元の肌と変わらなくなっていた。ただ、彼女はそれを白田に知られないよう、拭った後もガーゼで覆い隠した。「赤ちゃんの状態は楽観視できない。でも、どうすべきか、白田ならわかるでしょ」

白田は思わず舌打ちした。やはり一般庶民でいるのが一番だ。この高貴な家は外から見れば華やかだが、内側はどれほど汚れているか分からない。...