第54章

うわ、この子、すごく美しいじゃないか。

少女の驚くほどの美しさから我に返り、吉川龍平は思わず驚いた。この子は一体誰だろう？

彼はこれまで望様の側に女性が寄り添う姿など一度も見たことがなかった。それもこんなに親密に。

美咲は周囲の視線など気にせず、夜十神望の胸に飛び込み、見上げた瞳で彼を見つめながら、片手で自分のお腹を撫でた。

お腹すいた。

夜十神望は柔らかな美咲を抱きながら、その仕草を見て軽く笑みを漏らした。「お腹空いたのか？」

美咲はこくりと頷いた。

たくさんの美味しいものが食べたかった。

夜十神望は傍らで待機していた執事に冷たい視線を投げかけ、美咲に話しかける時の優しさと...