第10話 誰かが彼女の名を騙って偽物を闇市場に出品した

石橋からの電話を切った凛は、もうひとつの番号を呼び出した。

氷川修平。鳴神会若頭。凛に従って六年になる右腕だ。三年前、凛がたった一人で関東十三の傘下組織を制圧した夜、真っ先に身命を賭して従った男である。

「修平。横浜第三港区。三日後に非公開競売がある。誰が私の名を騙っているのか、どんなルートを使ったのか、洗い出して」

氷川修平は二秒ほど沈黙した。

「……港を封鎖しますか」

「いや。調べるだけでいい」


三日後。横浜。

巨大な貨物船の影が港にのしかかり、コンテナが錆色の迷路のように積み上がっている。

凛は冷たい風を抜け、倉庫入口に立つ警備員にパスカードを差し出した。

機...

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