第101话 ルーペの下、本物と偽物の差はわずか〇・二ミリ

結衣は椅子に座ったまま、泣き腫らした跡の残る顔をこわばらせた。テーブルの下で太股を強くつねり、ようやく声を柔らかく整える。

「お兄様、だから言っているでしょう。これは全部、わたくしのへそくりをはたいて、お友達からBlancの特別な伝手で譲っていただいたの。お父様とお母様、お兄様への感謝の気持ちを形にしたくて。どうして信じてくださらないの」

そう言って、また目元を赤くした。だが、胸の内にはたった一つの思いが燃えているだけだった。なぜ凛の言葉ばかり信じて、自分の必死な言い分を紙くずのように扱うのか。

龍介は座らなかった。ごく静かに息を吐く。

「結衣。お前は、俺の記憶にいる相手とは、もうかけ...

ログインして続きを読む