第103話 遠野家、すべてを売り払って五千万をかき集める。楓原親娘、隼人に路地で追い詰められる。

真夜中の白木町は、柱時計の音だけが響くほど死に絶えていた。

遠野健吾はソファに沈み、スマホの画面の光が目の下の隈を際立たせている。

弁護士からの最後通告だった。賠償総額は二十六億。ただし、今夜十二時までに内金五千万を支払えば、相手方は協議の継続に応じる。間に合わなければ、強制執行に切り替える。

八億での不動産譲渡契約は結んでいた。だが仲介業者は、入金は早くとも来週になると言う。遠水が近火を消すことはできない。

健吾はゆっくりと電話を置き、後頭部をソファに預け、虚ろな目で天井を見つめた。

十八年だ。この居間で何度も計算し、何度も勝ってきた。計算する力すら残っていないのは、これが初めての...

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