第11話 一言で消えた二億二千万

凛が視線を戻した。

「私のほうが二ヶ月早く生まれてる。年齢で言えば、あなたが私をお姉ちゃんと呼ぶべき」

結衣の表情が一瞬、ひび割れた。涙がぴたりと止まった。

リビングに響くのは壁時計の秒針だけ。九条貴弘が軽く咳払いをした。笑いをこらえるような、そんな咳だった。優香はネックレスのベルベット台を整えながら俯き、口元の笑みを隠している。

結衣の顔色は白から青に変わり、唇が何度か震えた末に、ようやく声を絞り出した。

「……そ、そうなの? ずっと私——」

「思い込んでたことが、いつも本当とは限らない」凛はもう結衣を見ていなかった。「お母さん、このネックレス試してみたい」

「さあ、つけてあげ...

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