第13話 鷹司家当主、自ら診察を請う

「彼女はまだ準備ができていない」

貴彦が眉を上げた。「お前が他人を気遣うとはな」

「……他人を気遣っているんじゃない。自分のためだ」

隼人は言い終えると、外套を手に取り、ドアを押して出て行った。

廊下の先に、凛の姿が現れた。

遠野勝三の病室から出てきたばかりで、手に弁当箱を提げている。

二人は十メートルほど離れて視線を交わした。凛が小さく頷き、エレベーターへ向かう。隼人は口を開かなかった。

エレベーターの扉が開こうとした瞬間、廊下の角の防火扉が大きな音を立てて突き破られた。

鶴田健二が飛び出してきた。

眼窩は落ちくぼみ、頬骨は浮き出し、右手首には包帯が巻かれたままの男は、まる...

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