第139話 瓦礫のなかで彼が「結婚しよう」と言い、披露宴では五者が揃って彼女を認めた

鑑定書の公開から五日後。

九条本家の認親の宴は、最終段階に入っていた。零次がサイバーセキュリティ顧問として地下資料室に入り、宴会当日の防護配置を確認している。凛も居合わせて、九条家の歴年の対外文書を整理し、宴での公式発表に備えた最終確認を進めていた。

ふたりは資料室で偶然顔を合わせた。空気は微妙だった。「夜叉」の正体への推測を、零次はとうに抑えきれなくなっていたが、口には出さなかった。ただ時折、凛のキーボードを操る手つきを横目で追うばかりだった。

関東地方を震源とする大地震が、その瞬間、急激に襲ってきた。

震度六強。地下室の耐力壁は一瞬で亀裂を走らせ、出口は崩落した岩で塞がれた。零次の...

ログインして続きを読む