第16話 彼が信じるのは彼女だけ

凛は電話を切ると、車のキーを掴んだ。外は雨。上着を取る余裕もなかった。

土砂降りだった。黒いカットソー一枚で車に飛び込む。

車は雨のカーテンを裂くように走り、ワイパーは最速でも追いつかない。

聖華病院の地下駐車場から救急救命センターまで、二十メートルの露天通路がある。凛はドアを押し開けると、雨の中を大股で突っ切った。十秒で全身ずぶ濡れになり、薄いカットソーが肌に張り付き、濡れた髪から水が滴る。

自動ドアが開いた。隼人は廊下の突き当たりの長椅子から立ち上がる。

彼女の姿を見た瞬間、体が止まった。

濡れたカットソーが体に貼り付き、襟元から下へ、あらゆるラインが隠れようもなく浮かび上がっ...

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