第17話 鷹司隼人、皆の前で彼女に求婚する

翌日、銀座の一等地に建つ高級ブティックの前で、隼人の足が止まった。

今日は定休日だ。店内に他の客はおらず、黒服の店員たちが入り口で深々と頭を下げる。

凛は隼人の半歩後ろを歩いていた。なぜここに連れて来られたのか、自分でもわからない。ただ昨日、今日会う約束をした後、隼人が行き先をここに変えただけだった。

「奥様、こちらへどうぞ」

若い女性店員が微笑み、試着室のほうへ手を向けた。

凛の眉が微かに動く。奥様——。

否定しようと口を開きかけた瞬間、隣から低い声が落ちた。

「これと、これ。あとそっちの三着も」

隼人はソファに腰を下ろしたまま、指先で品々を示した。「奥様」という呼び方につい...

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