第20話 馬の背で、後ろから彼女を抱きしめた

助手席で、隆馬が振り返り、恭しく慎重な口調で切り出した。

「凛さん。これは鷹司家に代々伝わる当主の妻の証です。白金の千羽鶴ブローチは、鷹司家の未来の女主人だけに与えられるもの。このブローチを目にすることは、鷹司家当主本人に会うのと同じ。つまり、鷹司家全体の承認なのです」

凛が手を上げて外そうとした。隼人がその指を押さえた。

「つけてろ」

声は淡々としていた。有無を言わせない響きだった。凛は手を押さえられたまま、一度だけ振りほどこうとしたが、ほどけなかった。隼人はすでに目を閉じ、後頭部をヘッドレストに預けている。

その口元がわずかに上がっていた。弧は浅い。だが、どう見ても機嫌はすこぶる...

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