第25話 遠野家に捨てられた任命書は本物だった**

朝、内閣庁舎の前で、健吾は三時間近く立ち尽くしていた。

受付窓口の向こうの女性職員が顔を上げた。表情は二時間前と同じ、慇懃でいてよそよそしかった。

「名刺を三枚もお渡ししました。白木町の遠野建設、健吾と申します。町長選のことで」

「議員との面会には事前の紹介が必要です。お引き取りください」

健吾はポケットに手を突っ込み、厚い封筒を取り出すと、声を潜めた。

「これ、お渡しいただけないでしょうか。ご迷惑はかけませんから」

受付の女性はちらりと封筒を見た。声音ははっきりと冷えていた。

「お預かりできません」

封筒はガラス越しに押し戻された。健吾の顔が赤く染まり、指先が震える。封筒を丸...

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