第31話 元役員、一味を引き連れて会社に乱入

「どうした?」

受話器の向こうが二秒ほど静かになる。隼人の声が低く、少し困ったように響いた。

「父が、家族での食事会まで待てないと言い出して」

「……どういう意味?」

「明日、直接お宅へ行きたいと。俺を連れて。それから、伯父さんと伯母さんを食事会に招待したいとも言っている」

凛はまばたきをした。「あの父親、どれだけ待てないの」

隼人は一拍置いた。言葉を選んでいるように。

「未来の親戚なら、行き来が多いに越したことはない、と」

未来の親戚。内閣官房長官の口から出ると、重みが違う。凛は眉間を揉んでから、結局小さく笑いを漏らした。

「わかった。両親には私から伝える」

「ああ。また...

ログインして続きを読む