第37話 彼は彼女のためにマッサージを学んだ

「写真、すぐ送って。一番親密に写ってるやつを選びなさい」

メッセージを送ると、結衣はシートに背を預けた。膝の痛みはまだ引かないが、口元はもう勝手に緩んでいた。

あの場でこれだけの屈辱を味わわせた分、倍にして返してやる。見ていろ。明日のSNSトレンド一位は──

同じ夜。

九条凛が社長室を出たのは、午後十時を回っていた。

一日中の会議で、肩と首はコンクリートを流し込まれたように硬い。凛は廊下を抜けて役員専用ダイニングへ向かった。水を一杯飲んで、十分だけ座ろう。ただそれだけだった。

ダイニングの照明は限界まで落とされていた。凛はカウンター席に腰を下ろし、首の後ろを揉む。

「凛様、お疲れ...

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