第41話 彼女はネグリジェで部屋に踏み込んだ

午前五時半。九条家はまだ静けさに沈んでいた。

氷見が洗濯室から顔を出し、廊下に誰もいないことを確認してから、足早にリビングへ向かった。ソファの肘掛けに掛かっていたダークグレーのスーツジャケット——昨夜、隼人が泊まった際に脱いだものだ——を手に取る。

それから小走りで結衣のもとへ向かい、報告した。

「客間の鍵、昨夜のうちに内側のロックを外しておきました」

氷見は声を潜めた。

「押すだけで開きます。それから、リビングにあったあのジャケット、洗濯機に入れておきました。今朝、出かけるとなれば着替えを取りに来るはずです。そうなれば——」

「そうなれば、客間に長く留まることになる」

結衣が言...

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