第53話 彼女が初めて迎えた誕生日

青山の低層マンションの前に車が停まった。隼人が先に降り、凛のためにドアを開けた。

「着いた」

凛は目の前の静かな建物を見た。「ここ、どこ?」

「入ればわかる」

エレベーターは最上階まで直行した。ドアが開くと、隼人は凛の手を引いて廊下の突き当たりまで歩き、指紋ロックを開けた。

後ろでドアが閉まった。凛がスイッチに手を伸ばすより早く、部屋中に暖色のキャンドルの灯りが灯った。

ハッピーバースデーの歌が流れ始める。執事が銀のワゴンを押して近づいてきた。上には精巧な苺のショートケーキが載っている。

隼人がワゴンの横から現れた。黒いシャツの襟元のボタンが一つ外れ、キャンドルの灯りよりも深い眼...

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