第54话 法務部が遺産訴訟を勝ち取る

隼人はすでに目を覚ましていたが、耳の先が赤い。腕は凛をさらに強く抱き寄せた。

「あと一分だけ。何もしない」

しばらくして腕を解くと、体を起こし、背を向けた。

「シャワーを浴びてくる」

声がひどく掠れていた。凛は枕に顔を埋めた。それから身支度をして玄関へ向かうと、背後から声が飛んでくる。

「夜は食事に帰ってこい」

「わかってる」


九時を過ぎたばかりのデザイン部前に、人だかりができていた。

中年の男が消火栓のそばに座り込み、泣き声をフロア中に響かせている。

「俺は楓原琴音の伯父だ!あの子は親父の遺産を独占して、俺たち家族を家から追い出した。飯も食えてないんだ!今日、会社...

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