第60話 春奈への返信は、たった一本の動画リンクだった

遠野家のリビングには消毒液の匂いが漂っていた。

春奈は救急箱を乱暴にテーブルの上へ置いた。

咲良は白いソファに寄りかかり、左頬を腫らし、唇の端を切らしている。氷嚢を顔に当て、時折すすり上げていた。

「また凛の仕業なの?本当のことを言いなさい」

ドスンと隣に腰を下ろした春奈は、消毒綿を手に取り、咲良の傷を拭きながら奥歯を噛みしめた。

「お母さん、私は何もしてない。向こうが人を連れて来て騒いだの。花梨とか神宮の人間が、みんな凛の言いなりで、いきなり殴りかかってきたのよ。反応する暇もなかった」

咲良は声を詰まらせ、涙を浮かべた。

「もういい、お母さんがなんとかする。あの小娘、まだ自分が...

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