第62話 一枚のクレジットカード履歴が、彼女を陥れた女中を追い詰めた

九条凛が屋敷に戻ったのは、深夜一時を過ぎた頃だった。

庭の外側の街灯は灯り、玄関には小さな明かりが一つだけ残っていた。空気には旧家特有の白檀の香りが漂い、初秋の夜風の冷たさが混じる。凛は明かりをつけず、薄明かりの中で靴を履き替え、二階へ上がろうとしたところを、廊下の突き当たりの人影に呼び止められた。

「お嬢様、お帰りなさいませ」

氷見雪絵が湯気の立つ煎茶を盆に載せ、台所の方から早足で近づいてきた。顔には恭しい笑みを張り付けていたが、その目には窺うような色が潜んでおり、視線が凛の全身を一周した。

「お酒を召し上がったのですね。こんな時間まで、どちらへ?」

「あなたには関係ない」

凛は...

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