第72話 ニック、公の場で暴く——咲良の『幻桜』は彼女の作品ではない

表彰式は終盤に差し掛かっていた。シャンデリアが会場を明るく照らし、舞台上の光の柱は流れる琥珀のように、今まさに今季のチャンピオンとして発表されたばかりの人影を包み込んでいた。九条結衣は光の中心に立ち、スカートの裾のビーズが彼女の微かな呼吸に合わせて上下し、細かく鋭い光を反射させていた。

結衣は上品な微笑みを保ち、視線をさりげなく客席の二列目へと走らせた。そこには九条家の最も重要な面々——父、母、凛——が座っているはずだった。

今、凛はおらず、両親の姿もなかった。

結衣は花束を握る指に一瞬力を込めた。凛が式典の合間に何か手を回し、両親を自分の目の前から連れ去ったのだと、彼女はすぐに判断した...

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